AD Newsアンチ・ドーピング通信

なぜサプリメントは注意しないといけないのか?

更新日:2024年12月3日

サプリメントの使用をサポートスタッフに相談した際に「サプリメントは極力使わないで!」「絶対に安全であるとは言えません」などと言われたことはありませんか?
実際に、過去のドーピング事例をみてみると比較的にサプリメントでのドーピング違反が多く見られます。

今回は、なぜアンチ・ドーピングにおいてサプリメントの使用が危険なのかを解説していきます!

医薬品に比べてコンタミのリスクが高い

「コンタミ」とは、コンタミネーション(Contamination)の略で、成分表示には含まれていない成分が混入することをいいます。

医薬品の場合は薬機法という法律があり、製造から販売までの細かいルールがあるため比較的コンタミが発生しにくいですが、サプリメントは医薬品ではなく食品に該当するため、これに当てはまりません。
そのため、サプリメントは、製造の過程でコンタミが発生する可能性が医薬品よりも高いという傾向があります。

実際に意図しないドーピング違反の事例で、サプリメントが原因である、もしくは原因だと思われる事例は多くあります。
【参考事例】
・2021_1事件:https://www.playtruejapan.org/entry_img/2021-001_0707.pdf
・2019_1事件:https://www.playtruejapan.org/upload_files/uploads/2019/2019-01_final.pdf
・2018_5事件:https://www.playtruejapan.org/upload_files/uploads/2018/2018-05_final.pdf

成分表に記載のない成分が含まれている場合がある

前項では、コンタミによってサプリメントの製造会社も知らない間に禁止物質が含まれている場合があるとお伝えしましたが、サプリメントの製造会社や販売会社によって意図的に成分が表記されていない場合もあります。

前項でも説明した通り、サプリメントに薬機法は当てはまりません。
そのため、細かい成分表示が必要なく、企業秘密という観点で意図的に成分を隠しているというケースも中にはあります。

サプリメントのコンタミによるドーピング違反の場合は過誤過失がなかったことにならない

本来、コンタミなどによる避けきれなかったと判断されるドーピング違反は、「過誤過失がなかった」と判断された場合は、資格停止期間を無しとしてけん責(厳重注意のみ)となる可能性があります。

しかし、サプリメントのコンタミによる危険性はJADAなどのアンチ・ドーピング機関から広く発信されていること、サプリメントを使用する目的がパフォーマンスの向上であるという考えによるものでドーピング行為を助長しているのではという観点から、サプリメントのコンタミが原因でのドーピング違反の場合は過誤過失がなかったとは認められません。
このことは、アンチ・ドーピング規程に明記されているため、サプリメントによるコンタミが原因で意図的でなかったことを証明できたとしても、成績の失効と一定期間の資格停止が下されてしまいます。

さいごに

一概に「サプリメントを使用したらダメ」と言われただけでは、納得できないですよね。
アスリートからすると少しでも成績が上がる可能性があるのであればサプリメントを使用したいと考える方も多くいらっしゃると思います。
サプリメントを使用するかどうかの判断は最終的には自己判断にはなりますが、サプリメントを使用するリスクも踏まえて判断するようにしましょう。

※ドーピングを防ぐために、サプリメントを使用する際には所属するチームのトレーナー、栄養士、薬剤師またはスポーツファーマシスト、製造販売元に確認するなどして、十分に専門家のアドバイスを受けてから使用することをおすすめします。また、確認の方法も電話ではなくメールやFAXなどで証拠が残るような形でのやり取りをおすすめします。