AD Newsアンチ・ドーピング通信

ワリエワ選手 ドーピング違反解説

更新日:2024年6月13日

2022年北京オリンピック フィギュアスケートのワリエワ選手のドーピング違反について、CAS(スポーツ仲裁裁判所)が判決を下しました。
本件は、「要保護者」に該当する選手に対して、資格停止期間が4年間と厳しい裁定になりました…
今明らかになっている部分について、ご説明します。

事件の経緯

・2021年12月 ロシア選手権ドーピング検査実施
・2022年2月 北京五輪中にロシア選手権でのドーピング検査で禁止物質が検出されたことが発覚
・2024年1月 資格停止期間が4年間に決定。2021年12月以降の成績も取消

五輪前の大会での結果が五輪中に発表されたことで、大きな混乱となりました。
また、イレギュラーな事件であったこともあり、ドーピング違反発覚から制裁の決定までに、約2年間と時間がかかってしまいました。

要保護者であったことは制裁の決定には影響しなかった

当時ワリエワ選手は16歳未満であったため、「要保護者」に該当します。
要保護者の場合、ドーピング違反が決定したとしても、名前などは公開されませんが、五輪中にドーピング陽性が発覚したため、違反が公になってしまいました。
制裁についても、一般の選手に比べて柔軟な対応がされるべきではありますが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は「要保護者であったことは、証拠を十分に検討した結果、裁定には影響を与えなかった」としています。

検出された禁止物質「トリメタジジン」は 祖父の薬であることを主張

検出された禁止物質「トリメタジジン」は祖父が使用していた医薬品に含まれており、それががなんらかの方法で自身の体内に侵入したことを主張しました。
しかし、証拠がなかったことから、認められませんでした。